前回は、Zapierがどんなツールで、何ができるのかという全体像を「Zapierとは?できることと仕組みを解説」記事にてお伝えしました。基本を理解すると、次に気になるのは「では、実際にどうやって作るのか」という点ではないでしょうか。実は、Zapierでつまずきやすいのは導入の最初の一歩です。「アカウントは作ったものの、画面を開いたまま手が止まってしまった」という声は少なくありません。そこで本記事では、はじめての自動化(Zap)を作って動かすところまでを、5つのステップで具体的に解説します。さらに、自然言語で指示するだけでZapを下書きしてくれるAI機能「Copilot」や、そのまま真似できる自動化の例も紹介します。全5回連載の第2回として、まずは"動く1本"を完成させましょう。1. Zapを作る前に押さえる基本と準備1.1. Zapは「トリガー」と「アクション」でできている最初に、前回の復習も兼ねて基本をおさらいします。Zapierの自動化「Zap」は、「トリガー」と「アクション」という2つの部品の組み合わせでできています。トリガーは自動化のきっかけ、アクションはそのきっかけを受けて実行される処理のことです。ここで一つ、必ず押さえておきたいルールがあります。Zapを公開して動かすには、トリガーと、少なくとも1つのアクションの両方が必要だという点です。トリガーだけでは"きっかけ"を待つだけで何も起こらず、公開できません。「何が起きたら(トリガー)、何をするか(アクション)」をセットで考えるのが基本です。意外に思われるかもしれませんが、最初から複雑な自動化を目指す必要はありません。まずは「トリガー1つ+アクション1つ」のシンプルな1本から始めるのが、つまずかないコツです。なお、無料プランでは1つのZapに設定できるステップが2つまでに制限されているため、入門にはちょうどよい範囲といえます。1.2. 作成前に用意しておくもの実際に手を動かす前に、準備しておくとスムーズなものが2つあります。1つはZapierのアカウント、もう1つは連携させたいアプリのログイン情報です。Zapierは無料プランから始められるため、まずはアカウントを登録しておきましょう。そのうえで、今回つなぎたいアプリ(例えばメールとチャットツール)に、すぐログインできる状態にしておきます。なぜなら、Zapの作成中に「このアプリとZapierを連携してよいか」を確認する認証画面が表示され、そこでログインが必要になるからです。事前にログイン情報を手元に用意しておけば、作成の途中で中断せずに済みます。特に、社内で共有しているアカウントを使う場合は、ログインや連携の権限があるかを先に確認しておくと安心です。準備が整ったら、いよいよZapを作っていきましょう。2. 初めてのZapを作る5つのステップ2.1. ステップ1・2:新規作成とトリガーの設定ここからは、はじめてのZapを5つのステップで作っていきます。題材として「メールに特定の連絡が届いたら、チャットツールに通知する」という自動化を例に進めます。まず【ステップ1:新規作成】です。Zapierのダッシュボードを開き、画面左上の「Create」ボタンから「Zap」を選びます。すると、Zapを組み立てるための編集画面(Zapエディタ)が表示されます。続いて【ステップ2:トリガーの設定】です。きっかけとなるアプリを選び、トリガーとなるイベント(例えば「新着メール」)を指定します。次に、認証画面で対象アカウントとZapierを連携します。最後に「テスト」を実行し、Zapierが実際のデータを正しく取得できているかを確認しましょう。このテストで取り込んだデータは、後の設定で使うことになります。2.2. ステップ3:アクション(処理)の設定トリガーが設定できたら、次は「処理(アクション)」を決めます。【ステップ3:アクションの設定】です。トリガーのときと同じ要領で、処理を実行したいアプリを選びます。今回はチャットツールを選び、アクションイベントとして「チャンネルにメッセージを送信」を指定します。アプリを選んだら、処理の中身を具体的に構成していきます。例えばチャットツールであれば、「どのチャンネルに送るか」「どんな本文を送るか」といった項目を入力します。トリガーと同様に、ここでもアクション側のアカウント連携(認証)が求められます。ここまでで「メールが届いたら、チャットにメッセージを送る」という骨組みができました。ただし、このままでは毎回同じ固定文しか送れません。そこで次のステップで、メールの中身を通知に反映させる設定を加えていきます。2.3. ステップ4・5:データ連携・テスト・公開【ステップ4:データの連携(データマッピング)】は、Zapierの便利さが最も実感できる設定です。トリガーで取得したデータを、アクションの入力欄に差し込むことができます。例えば、通知メッセージの本文に、届いた連絡の「件名」や「送信者名」を埋め込めます。入力欄でデータ挿入の操作を行うと、トリガーから取得した項目の一覧が表示されるので、使いたいものを選ぶだけです。【ステップ5:テストして公開】では、設定がそろったら必ずテストを実行します。実際にチャットへ通知が届き、件名などが正しく反映されているかを確認しましょう。問題がなければ「公開(Publish)」を選び、Zapをオンにします。これで自動化が稼働を始めます。なお、Zapは公開後、アクションが正常に完了するたびに「タスク」を1件消費します。3つのアクションを持つZapが1回動けば3タスクです。どのくらいの頻度で動く自動化なのかを意識しておくと、後々のプラン選びでも役立ちます。3. AIにまかせる:Copilotで「指示するだけ」のZap作成3.1. Copilotとは ― 自然言語からZapの下書きを作るここまで手動での作り方を見てきましたが、実は2026年のZapierには、この作業を大きく短縮してくれるAI機能があります。それが「Copilot(コパイロット)」です。Copilotは、やりたいことを自然な言葉で入力するだけで、Zapの下書きを自動で作ってくれる機能です。例えば「フォームに回答が来たらチャットに通知して」と入力すると、トリガー・アクション・データの連携設定までを含んだ雛形を提案してくれます。ゼロから手順を組む必要がないため、特に初心者にとっては心強い味方です。使い方も簡単で、Zapの新規作成時やエディタ上で、Copilotの入力欄に指示を打ち込むだけです。前述の5ステップの「骨組み作り」をAIが代行してくれる、とイメージすると分かりやすいでしょう。3.2. Copilotを上手に使うコツと注意点便利なCopilotですが、上手に活用するにはいくつかコツがあります。まず、指示はできるだけ具体的に書くことです。単に「通知して」ではなく「どのアプリの、どんなイベントをきっかけに、どのアプリで何をするか」を明確に書くと、精度の高い雛形が得られます。そして最も大切なのが、生成された下書きを必ず自分で確認し、テストしてから公開することです。AIはあくまで"下書き"を作ってくれる存在であり、連携先のアカウントや送信先の設定が意図どおりかは、人の目でチェックする必要があります。生成して終わりにせず、これまで紹介したテストの手順を踏むようにしましょう。なお、Copilotは無料プランでも試せますが、1日に使える回数に制限があります。回数を気にせず使いたい場合は、上位プランが必要になる点も覚えておくとよいでしょう。4. そのまま使える自動化の例3選4.1. 例1:問い合わせフォームの回答をチャットへ即共有最後に、実際の業務にそのまま応用できる自動化の例を3つ紹介します。1つめは、問い合わせフォームの回答を即座に共有する自動化です。「Webフォームに回答が送信されたら(トリガー)、営業担当のチャットチャンネルに内容を通知し、あわせて管理用の表計算ソフトに1行追加する(アクション)」という流れです。フォームの管理画面を見に行かなくても初動が早まり、対応漏れも防げます。問い合わせ対応のスピードが成果に直結する場面で、特に効果を発揮します。4.2. 例2:メールの添付ファイルを自動でストレージ保存2つめは、メールの添付ファイルを自動で整理する自動化です。「特定の条件のメールに添付ファイルが届いたら(トリガー)、クラウドストレージの指定フォルダに保存する(アクション)」という流れになります。例えば、取引先から定期的に届く請求書や申込書を、手作業でダウンロードして保存している現場は少なくありません。これを自動化すれば、保存し忘れやフォルダの取り違えがなくなります。ファイル名に日付を付けて保存するよう設定しておけば、後から探す手間も大きく減らせます。4.3. 例3:予定の登録をきっかけに複数の処理を実行3つめは、一つのきっかけから複数の処理をまとめて実行する自動化です。「カレンダーに特定の予定が登録されたら(トリガー)、担当者へ通知し、関連するタスク管理ツールにタスクを自動で作成する(複数アクション)」という使い方です。このように複数のアクションを連ねると、これまで人が順番にこなしていた一連の段取りを、一度の入力で自動的に流せます。まずは紹介した例の中から、自社の業務に近いものを一つ選び、トリガーとアクションを置き換えて試してみてください。動く1本ができれば、応用は驚くほどスムーズに広がっていきます。まとめZapierでの自動化は、「トリガーを決める → アクションを決める → データを連携する → テストして公開する」という流れさえつかめば、決して難しいものではありません。手順に不安があれば、AI機能のCopilotに下書きを任せる方法もあります。大切なのは、完璧を目指す前に、まず小さな1本を実際に動かしてみることです。本記事で紹介した3つの例の中から、ご自身の業務に最も近いものを選び、今日のうちに1本作ってみてください。次回の第3回では、Zapierとよく比較される「Make」「n8n」といった他のツールとの違いを取り上げ、自社にはどれが合うのかを選ぶ視点を解説します。